【幸せな暮らし】私は農家に嫁いだけど、義母、義祖父母、義曾祖母、みんなに可愛がってもらった。こんな幸せな結婚生活を迎える日がくるとは思わなかった。
亡くなる前の日に「ありがとね。あんたが娘になって良かった。楽しかった」って言われた。
私も義母さん、大好きだった。楽しかった。
もっともっと一緒に旅行とかしたかった。
義母の前には義祖母、その前には義祖父、その更に前には義曾祖母、
みんな見送った。
みんなみんないい人だった。
義母だけは病気で亡くなったので、本当はもっと一緒にいれたのにと残念だけど
最後に言ってくれた言葉で、義母が幸せだったのなら良かったと思うことにした。
私、子供の頃から引っ込み思案で友達もいなかった。
何か話しかけられても挙動不審みたいになって、上手く話せなくて。
ひとりで黙々と何かを作るのが好きだったから短大の家政科に進んで
その方面で手に職を付けて一人でも生きていけたら~って思ってた。
自分の容姿にも自信がなかったから、異性を好きになることもなかった。
はなから相手にされると思ってなかったし、
そんなだから、結婚なんて出来ないと思ってたし。
たぶん両親はそんな娘をどうにかこうにか結婚させるには
若さが武器になるうちにとでも思ったんだろう。
短大を出てすぐに見合い話をもってきた。
相手は一回りも年上の専業農家の跡取り息子。
車があれば不便ってことはないけど、すごい田舎で遠かったのが
私にとっては逆に良かった。
あまり学生時代の同級生に会いそうにない場所だったから。
でも写真見たらどうせ断ってくるんだろうなって思ってたんだ。
ところが、あれよあれよという間にお見合いの日取りが決まって
会ってみたら、相手も大人しい人でモジモジしてて
途中からふたりだけにされたけど、ふたりでモジモジ合戦みたいになった。
そしたら急におかしくなったらしくて相手がプッて噴出して
それに釣られて私も噴き出して、なんかお互い「こういうの苦手ですね」って言い合った。
あ、なんかこの人と結婚決まるかもってその時思った。
そしてそのまま半年後には式を挙げた。
結納まで一ヶ月ぐらいしかなかったけど、全然嫌じゃなくて
心地よく流された、って言う表現がぴったりくる感じ。
不安とか全然なくて、これが“縁”と言うものなのかなと思った。