【忘れない】転勤した職場で事件が起きて対応に追われて、母の誕生日をあり得ないくらい完全に忘れ果てたことが1回だけあった。
母の誕生日をあり得ないくらい完全に忘れ果てたことが1回だけあったんだ
間の悪いことに、母以外みな勤め人だったんだけど
みなそれぞれに思い悩むことがあったようで
みなが誕生日を忘れてた
誕生日の朝、ダイニングテーブルの上に
母がいつも買い物する時やテレビ見ながらメモするのに使っている
裏に印刷がない広告紙を切って束ねたメモ帳が置いてあった
その朝も気ぜわしくて、その1週間は朝食も摂らないで出勤する有様だったから
席にも着かなかったしそこに何が書いてあるかなんて全然見なかった
やっと事件対応が片付いてちょっとゆっくりした日常がやってきて
ある日ふと、何の気なしにそのメモ用紙をめくってたら
「今日はなんのひ?」って鉛筆で書かれたページがあった
それを見た瞬間に、母の誕生日を忘れてたことや
誕生日の朝のテーブルにそのメモ用紙の束が置いてあったことが
バババっと、なんか目の前に突きつけられたような勢いで思い浮かんで
当日の夜も忙しいって理由で、家で夕飯を食べなかった
次の日の朝、「ちょっとは何か食べなさい」って言われて
急いで皿からつまんで食べたのが
骨のところにアルミホイル巻いた鶏の手羽中の香草焼きと
鮭と卵と青のりの3色の小さな俵おむすびと
パプリカやブロッコリーやゆで卵でとてもカラフルなマヨ和えサラダと
ベーコンとオニオンのコンソメスープだったんだ
「うわー!朝から豪勢じゃん!テンション上がる!」って言ったと思う
でもあれは前夜のごちそうだったんだ
今でも思い出すと身を切られるような後悔がこみ上げてくる
母には謝り倒して、遅まきながらの誕生日プレゼントも探して渡して
それからは絶対に忘れることはない
けど、忙しいみなに自分で言えずメモに書いた
家の中にいつも一人でいる専業だった母の寂しさを考えると
許してはもらえたけど
取り返しのつかないことをしたなと今でも思うよ