気づけば「霊」を見るようになった。彼女は優しく笑って私に近づく。夢か現実か分からなかった。でもある日…私は首を締められた
これの始まりを私は明確にいつと言うことは出来ない。
気づけば彼女を見るようになっていました。
最初に見たのはまだ小学生の時です。
二階のリビング。カーペットを敷かれているそこで寝ると、夢と現実の間で女性を見ました。
その人は白いワンピースを着て、髪の長い人でした。
リビングの入り口から部屋に入ってきて、私の方に近づいてくるんです。
怖いとは思いませんでした。彼女はとても優しく笑っていましたから。
それから、度々リビングで寝ると彼女を見ました。絶対に見る!というわけではありませんが、結構な確率で見ていました。でも、私には夢か現実か判断が出来ませんでした。
そうして時が経って、専門学生の時になったときです。
私はだんだんと自分の家族がおかしいという気持ちを確信に変えていて、家を出たいと思い始めた頃です(毒親だったんです)。
そのころにはリビングで寝てもあまり女性を見なくなっていました。
多分、夢だったんだろうな、と思っていたんです。(たまに母に、この家のリビングには綺麗なお姉さんが居るんだよといっていましたが)
ある日の夜です。
これから夕食を作ろうと一人でキッチンに立っている時に、ふと視線を感じました。
うちの家のキッチンはカウンター型だったので、キッチンに居ながらリビングのドアを見ることが出来ます。
リビングの入り口に、女性はいました。
一瞬、それが誰か私にはわかりませんでした。
彼女はいつも優しく笑っているイメージがあったからです。
でも、そこに立っている彼女は笑っていませんでした。
無表情で私の事を見ていました。
綺麗だった長い髪は肩当たりでぼさぼさになっていて、服はどろでぐちゃぐちゃでした。
息が止まりました。怖い、と思う前に、彼女は消えていました。
それが現実で私が彼女を見た最初で最後です。