20年以上の別居の末に、夫が亡くなった。最後まで、夫が何を考えていたのかわからなかった
引用元: https://kohada.open2ch.net/test/read.cgi/kankon/1637116824/
お葬式をはじめとするひと通りの手続きが済んだので、自分の気持ちの整理のために書き捨てようと思う。
私たちは元々同じ会社の同僚で、ごく平凡な交際をして、普通の結婚をした。
夫が変わったのは、子供が生まれてからだと思う。2人とも早くから子供を欲しがっていたのだけど、なかなかうまくいかず、私の妊娠がわかったのは結婚8年目だった。
夫は大喜びで、私のつわりがきつかったこともあって、家事のほとんどを引き受けてくれた。産休に入ってからもそんな調子で、申し訳なく思ったのを覚えている。
出産の時も、私の出血が酷くて入院があったりで、かなり心配をかけたとは思う。
そんな夫は、私が退院してくると、私がたまにおやつを食べたり、好きな漫画を買って読んだりしていると「それって子育てに必要?」と言うようになった。
子供が生まれてから、夫は自分の私物をどんどん処分していった。
息子が4ヶ月ぐらいの頃、仕事から帰ってきた夫に好物の刺身を出したら「こういうのはやめてほしい」と言われた。子供の為でない事に、お金や時間を使わないで欲しい、というのが理由だった。
そう言われても家族の為に働いてる夫には、それなりの物を用意したいし、と思っていると、夫は外で食べるからご飯はいらない、と言いだした。
夫は早起きして私の朝食を用意し、自分は食べずに洗濯物を干して出勤するようになった。
帰宅したら夕食は食べて来たからと食べず、洗い物と風呂・トイレ掃除をし、洗濯機のタイマーをセットして寝る。子供が夜泣きしたら起きてあやしてくれるし、私が体がしんどい時にはミルクもあげてくれた。そんな事をしながら、土日も関係なく出勤する。
だけど当時、夫の小遣いは月に2万円だった。いつのまにか夫は家では一切食事をしなくなっていたが、小遣いでやりくりできるからと、それ以上のお金は受け取らなかった。
だから私も、夫に口ごたえできなくなってしまった。
私にも気晴らしは必要だと訴えると「僕たちは親になったのだから、もう人ではない。子育てに必要な事以外の個人的な欲求は我慢すべきだ」
と言う。
夫が自分のものは靴下ひとつ買わなくなっていたので、私は反論できなかった。
その状態が辛くて、義母(夫の母)に相談した事もある。義母は夫に、自分も時々は息抜きをしたということを言ってくれたが、夫はそれに対して「母さんは親失格だと思う」と言って義母を泣かせた。義父に対しても同じだった。
結局、私は夫の「それって子育てに必要?」に耐えられなくなって、別れてくださいと頼み込んだのだけど、夫は頑として離婚には応じず、すったもんだの末に別居する事になった。
それから20数年。
休日返上で働く夫の年収は1000万を超えていたけど、夫が自分の為に使ったのは年間で100万程度だったと思う。それぐらいの額が、私の口座に毎月振り込まれていた。
時々連絡はしていたけど、私は一度も夫と直接会うことはなかったし、子供も物心ついてからは一度も会ったことが無いので、夫の顔も知らなかった。
その子供が大学を卒業して社会人になって、しばらくして夫の訃報が届いた。
心不全ということだったけど、子供が社会人になったことで、もう役目は終わったとしたのでは無いかと思わずにいられない。
整理のために夫のアパートに行ったけど、ワンルームの床に万年床が敷いてある以外、テレビも冷蔵庫も何もない部屋だった。カーテンすらなかった。
夫がすべてを子供の為に捧げたのはわかるのだけど、なぜそんな風になったのかはわからないままだ。
普通に恋愛して結婚したはずなのに、夫にとって私は子育ての機械でしかなかったし、夫自身はお金を稼ぐ機械になろうとして、私に人として扱われる事を拒んだ。
考えても仕方ないとわかっているが、私は私なりに夫が好きだったし、私の何が悪かったのかと考えてしまう。